06 May 2006

Stephen Colbert(スティーブン・コルベール)のスピーチ その5

Boing Boingの続報によれば、Google VideoにColbertのスピーチ映像がアップロードされたそうです。XeniがGoogleに問い合わせたところ、この映像について権利クリアランス的な問題はないという回答だったそうで、Xeniは、ということはどうやらC-SPANがこの映像がアップロードされている件について同意しているということだろうが、それならばC-SPANはなぜYouTubeの映像だけ削除させたのか理解できないと文句を書いています。

05 May 2006

Stephen Colbert(スティーブン・コルベール)のスピーチ その4

Boing Boingの記事によると、YouTubeにあったColbertの晩餐会スピーチのビデオが削除されたそうです。削除の理由として著作権の問題であるとの表記がなされたものの、C-SPANの番組はパブリック・ドメインなのではないかという指摘があり、Boing BoingのXeni自身がYouTubeに問い合わせたところ、ビデオはC-SPANからの要請により削除したこと、および、映像はC-SPANの所有物であるとの回答であったとのことです。

原理上、Torrentに流れているファイルに関しては、削除はされないと思います。
iFilmではこれこれこれに3分割されていますがストリームが見れます。
また、これ(前半)これ(後半)も、画質は悪いものの、まだ生きているようです。

Stephen Colbert(スティーブン・コルベール)のスピーチ その3



スピーチが行われてから既に6日目ですが、アメリカ国内のブログでは依然としてこの件が盛んに取り上げられ続けています。同時に、議論の中心は、Colbertのスピーチの内容そのものというよりも、大手メディアがこのスピーチについてほとんど報じない事態についてへ移ってきています。

メディアも少しずつこのスピーチのことを取り上げ始めている模様ですが、保守派の論調は基本的にはどれもNYTと同様で「Colbertのスピーチは全然面白くなかったからニュースになっていないだけだ」という主張になっています。

Washington Postでは代表的な保守派コラムニストであるRichard Cohenが"Not So Funny"(「面白くもない」)という題でコラムを書いています。

(...)The gala is an essentially harmless event that requires the presence of one man, the president. If presidents started not to show up, the organization would have to transform itself into a burial association. But presidents come and suffer through a ritual that most of them find mildly painful, not to mention boring. Whatever the case, they are guests. They don't have to be there -- and if I were Bush, next year I would not. Spring is a marvelous time to be at Camp David.

On television, Colbert is often funny. But on his own show he appeals to a self-selected audience that reminds him often of his greatness. In Washington he was playing to a different crowd, and he failed dismally in the funny person's most solemn obligation: to use absurdity or contrast or hyperbole to elucidate -- to make people see things a little bit differently. He had a chance to tell the president and much of important (and self-important) Washington things it would have been good for them to hear. But he was, like much of the blogosphere itself, telling like-minded people what they already know and alienating all the others. In this sense, he was a man for our times.

He also wasn't funny.


あの晩餐会は基本的にはどうでもいいイベントで、だけどどうしても一人の男に来てもらわないと始まらない。大統領だ。もし大統領が出席するのをやめてしまったら、記者協会は葬儀屋協会にでも衣替えするしかなくなるだろうね。しかし大統領は出席して、退屈なのはもちろん、どこか居心地の悪い儀式にわざわざ最後までつきあってくれてるんだ。どういうことであれ、大統領達はゲストなんだ。別に出席しなきゃいけない訳じゃない。もし私がブッシュなら、来年はあんな晩餐会には行かないね。春のキャンプ・デービッドは素晴らしいから。

テレビではColbertは面白いよ。だけど自分の番組で自分が選んだ客の前でしゃべって自分で悦に入ってるだけだ。ワシントンではそんな観客はいなかった。彼はお寒くコケた。コメディアンとして、客を自分の世界に引き込むことができなかった。彼は大統領やワシントンのお偉いさん連中(や偉ぶってる連中)にもっとましな話をしてやることもできたはずだ。だが彼は、ブログ界の大多数と同じように、自分と同じことを考えている人間に向かって自分が読んだり聞いたりしたことをしゃべり、自分とは考えの違う人間をコケにしただけだ。そういう意味では彼はいかにも今の時代っぽい人間だ。

しかも彼はちっとも面白くもなかったよ。


一方、Salon Magazineが"Making Colbert go away"(「Colbertを追っぱらい中」)という題で記事を載せています。

(...)It's silly to debate whether Colbert was entertaining or not, since what's "funny" is so subjective. In fact, let's even give Colbert's critics that point. Clearly he didn't entertain most of the folks at the dinner Saturday night, so maybe Scheiber's right -- he wasn't "entertaining." The question is why. If Colbert came off as "shrill and airless," in Lehman's words, inside the cozy terrarium of media self-congratulation at the Washington Hilton, that tells us more about the audience than it does about Colbert.

Colbert's deadly performance did more than reveal, with devastating clarity, how Bush's well-oiled myth machine works. It exposed the mainstream press' pathetic collusion with an administration that has treated it -- and the truth -- with contempt from the moment it took office. Intimidated, coddled, fearful of violating propriety, the press corps that for years dutifully repeated Bush talking points was stunned and horrified when someone dared to reveal that the media emperor had no clothes. Colbert refused to play his dutiful, toothless part in the White House correspondents dinner -- an incestuous, backslapping ritual that should be retired. For that, he had to be marginalized. Voilà: "He wasn't funny."(...)


Colbertが面白かったかどうかを議論しても馬鹿らしい。何が「面白い」かというのはすごく主観的な話だからだ。実際、じゃあColbertを批判している連中の言う通りだとしよう。確かにColbertは晩餐会の出席者のほとんどを愉快にさせていなかったんだから、Scheiberの書いていることは正しいのかもしれない・・・Colbertの話を聞いてる奴らは「面白くなかった」んだ。問題はそれがなぜかってことだ。ワシントン・ヒルトンの居心地のいい宴会場の、プレスが身内同士で賞を授与しあってる会場で、もしColbertが、Lehmanの言葉を借りれば「大声で空気の読めない」スピーチをしてるように受け止められてたんなら、それはつまりColbertがどうこうじゃなくて、観客に問題があったってことがよくわかる。

Colbertの痛烈な演説は、石油でピカピカにまみれたブッシュ伝説製造機の仕組みを、めちゃめちゃわかりやすく明らかにしたというだけじゃない。大手マスコミが、いままでマスコミ自身をーそして真実をー発足当時からずっと見下してきたブッシュ政権と、情けなく共謀してきたってことを暴露しちゃったんだ。脅され、甘やかされ、いい関係でいられなくなることを怖がって、もう何年もブッシュの言うことを素直に垂れ流しにしてきたマスコミは、王様は裸だと言われて、肝をつぶして恐れおののいたんだ。Colbertは晩餐会でお約束通りのふぬけたスピーチをすることを拒んだ。あんな排他的でなあなあな晩餐会はもう終わりにするべきだ。そんなわけで、彼が登場しなきゃいけなくなったんだ。彼が「面白くない」?バンザイだ!

04 May 2006

Stephen Colbert(スティーブン・コルベール)のスピーチ その2



漸くNew York TimesがColbertのスピーチについて取り上げていました。
しかしなぜか記事はArts欄での掲載です。紙のNYTなら別刷りですよ…。

内容的には、あちこちのブログで騒ぎになっている状況を後追いする形での文章になっています。まあこのタイミングではそうするしかないとも言えるわけですが。

(...)Meanwhile, on its Web site, the trade journal Editor & Publisher posted more than a dozen letters from readers under a headline that reflected the broad range of electronic opinion: "Colbert Offensive, Colbert Mediocre, Colbert a Hero, Colbert Vicious, Colbert Brave." Mr. Colbert's employer, Comedy Central, said it had received nearly 2,000 e-mail messages by Monday morning — a response, it said, rivaled only by the contentious appearance nearly two years ago of Jon Stewart, Mr. Colbert's comedy patron, on the now-defunct CNN shout-fest "Crossfire."

Others chided the so-called mainstream media, including The New York Times, which ignored Mr. Colbert's remarks while writing about the opening act, a self-deprecating bit Mr. Bush did with a Bush impersonator.

Some, though, saw nothing more sinister in the silence of news organizations than a decision to ignore a routine that, to them, just was not funny.(...)


一方、Editor & Publisher誌はそのウェブサイト上で1ダース以上にのぼる読者からの投稿を掲載した。インターネットで寄せられた意見の幅広さを反映して見出しは「コルバートは失礼だ、凡庸だ、英雄だ、不道徳だ、勇敢だ」となっている。コルバート氏の契約主であるComedy Centralは、月曜日の午前中の段階で2000通近いeメールが届いていると述べた。約2年前にJon StewartがCNNの今は亡き怒鳴り合い番組"Crossfire"に出演して物議を醸した時に匹敵する反応だという。

また一方では、New York Timesを含むいわゆる大手メディアが、ブッシュ大統領がそっくりさんと一緒に自虐的なネタで笑いを取った部分はニュースに取り上げながら、Colbert氏の発言については何も報じていないとして非難するブログもあった。

とはいえ、報道機関は単にこのスピーチが面白くないと考えたからニュースにしなかっただけで、それ以上なにか悪意があって無視しているわけではない考える向きもある。


なお上記にあるEditor & Publisherの読者からの反応を掲載したページなのですが、ちなみに次のような記述で始まっています。

E&P's mailbag is full, massively full, over-the-top full, with readers' opinions on E&P's coverage of Stephen Colbert's speech at the the White House Correspondents Association dinner Saturday night. The traffic from that article gave our site possibly its highest one-day traffic total ever, and the biggest one-day supply of letters.

Editor & Publisherの郵便受けは満杯です。パンパンです。溢れてます。土曜日の夜にStephen Colbertがホワイトハウス記者協会の晩餐会で行ったスピーチについて、Editor & Publisherが取り上げた記事に対する読者のみなさんからのご意見で満杯なのです。あの記事によってうちのウェブサイトには一日あたりとしてはおそらく過去最大数のアクセスがあり、また一日あたりとして最大数の郵便も届きました。


だそうです。
また、ご存知の人も多いとは思いますが、Jon StewartとはColbertと同じくComedy CentralでThe Daily Showという番組を持つコメディアンで、既存のマスコミに対する歯に衣着せぬ批判で知られている人物です。
Wikipediaの記述によりますと、上記のNYT記事引用中にある2004年10月に彼がCrossfireに出演(してCNNを含むマスコミを口汚くけちょんけちょんにボロクソに攻撃)した際の映像は、現在までのところインターネット上で最も視聴された映像のうちの1つであるとのことです。
彼はそのThe Daily Showの月曜日の放送中で、早速今回のColbertのスピーチについて賞賛しています。Editor & Publisherはこの件についても記事にしています。

02 May 2006

Stephen Colbert(スティーブン・コルベール)のスピーチ



去る4/29に、毎年恒例のWhite House Correspondents' Assosiation Dinner(朝日新聞では「ホワイトハウス記者協会の晩餐会」という訳になっている)がワシントンDCで催されました。

この晩餐会には1924年のクーリッジ大統領以来、その時の大統領が出席するのが習わしになっているようで、今年もブッシュ大統領がローラ夫人を伴って臨席しました。ちなみに大統領とプレス以外にも、アメフトのスター選手やらラッパーやらジョージ・クルーニーなんかのセレブも多数呼ばれて出席していましたので、現在では単なるホワイトハウス詰め記者達の親睦の集いというよりも、かなりワシントン社交界パーティー的な性格を帯びているようです。

今年はSteve Bridgesというブッシュのそっくりさんの俳優が呼ばれ、2人で並んで交互におもしろおかしくスピーチをするという余興がなされました。このへんの場面については日本でも報道がそれなりになされましたから、記事を目にした人も多かったと思います。

しかし、このある意味たわいもないそっくりさんショーに続いて、Stephen Colbertというコメディアンが、まことに驚くべき内容の締めのスピーチ(closing speech)を行ったことは、どうやら日本国内のどのようなメディアのニュースにも取り上げられていないようです。

Stephen Colbertは、Comedy CentralでThe Colbert Reportというトークショーをホストするコメディアンです。なぜかコルベールとフランス語読みの発音をするらしい。私も番組を見たことがないのでよくわからないのですが、彼は番組中では共和党および大統領の絶対信奉者としてガチガチの保守の立場を取る人間を演じ切ることで、逆説的に彼らの主張の奇妙さを浮き彫りにして視聴者を笑わせるというスタイルで人気があるということのようです。

彼が晩餐会で行った約15分に渡るスピーチ(と、それに続くビデオ上映)があまりにも大胆に痛烈に容赦なく大統領を批判し、串刺しにしたため、晩餐会を生中継していたC-SPANをたまたま見ていた人間が直後からブログで取り上げ、それが短時間で話題になってくると、すぐさまあちこちにC-SPANをキャプチャーした動画がうpされる事態になりました。このあたりの流れは日本の2chでの祭りと同じですね。結果的にアメリカの保守からリベラルまで様々なブログでこのスピーチが取り上げられ、現在も攻撃と絶賛が激しく交錯しています。

それがどれくらいの騒ぎであるかというと、WikipediaのColbertの説明のページの記述によれば、スピーチ放送後の数日間、Technoratiでの検索語のトップは"Colbert"および"Stephen Colbert"であり、また5/2時点で下記のBitTorrentファイルは常に3000のseedが存在し、YouTubeのファイルは3日間で68万回ダウンロードされたということです。

スピーチの動画とtranscriptはとりあえず以下の方法で手に入れることができます。

BitTorrentで流れているAVIファイル
YouTube
親切な人が書き起こしたテキスト

上記のtranscriptから少しだけ彼のスピーチを抜粋してみます。日本語訳はかなりやっつけですのでご容赦ください。
読めばすぐにわかると思いますが、Colbertは、番組中の彼のキャラクターそのものになりきり、完全な大統領支持者としてスピーチを行っています。ということはつまり、彼のスピーチは徹頭徹尾すべてが強烈な皮肉でできているということなのです。



...I believe in democracy. I believe democracy is our greatest export. At least until China figures out a way to stamp it out of plastic for three cents a unit...

…私は民主主義を信じています。民主主義こそ我が国の最も偉大な輸出品であります。少なくとも中国がいずれ民主主義を1個3セントでプラスチックから製造できるようになるまではです。…

(注・ブッシュはしばしば「圧政を倒し、アメリカ流の民主主義を地球上すみずみまでに広めるために」アメリカが世界各地へ兵力を派遣することを正当化している。Colbertは、そんな民主主義ならいずれ中国製の粗悪品に取って代わられるだろうと挑発している、というように読み取れる。)


... I believe the government that governs best is the government that governs least. And by these standards, we have set up a fabulous government in Iraq...

…いちばんよい政府とは、できるだけ何もしない政府であります。この考えに基づいて、アメリカは素晴らしい政府をイラクに樹立したのであります。…

(注・できるだけなにもしない政府とは、共和党の伝統的な主義である「できるだけ小さな政府」のこと。イラクに苦労して作り上げた政府が極めて弱体で、全土的にまともな機能がほとんど期待できない点をからかっている。)


...And though I am a committed Christian, I believe that everyone has the right to their own religion, be you Hindu, Jewish or Muslim. I believe there are infinite paths to accepting Jesus Christ as your personal savior...

…私自身は忠実なキリスト教徒ですが、もちろん誰もが自分の宗教を信じる権利があります。ヒンズー教徒だろうとユダヤ教徒だろうとイスラム教徒だろうと、この国ではイエス・キリストを救世主として自由に受け入れる権利があるのです。…


...Now, I know there are some polls out there saying this man has a 32% approval rating. But guys like us, we don't pay attention to the polls. We know that polls are just a collection of statistics that reflect what people are thinking in "reality." And reality has a well-known liberal bias.

So, Mr. President, please...pay no attention to the people who say the glass is half empty, because 32% means it's 2/3 empty. There's still some liquid in that glass is my point, but I wouldn't drink it. The last third is usually backwash. Okay, look, folks, my point is that I don't believe this is a low point in this presidency...


…さて、大統領は32%の支持率しかないという世論調査もあるようです。しかし我々は世論調査なんか気にしません。世論調査なんてものはただの統計の寄せ集めであって、国民が「現実世界」をどう考えているかを反映しているにすぎません。そしてこの現実世界そのものがおなじみのリベラルの偏向入りで狂っているんです。

ですから大統領、コップが半分空っぽだっていうようなやつらの言うことなんか聞く必要はありません。32%といえば3分の2が空っぽです。私に言わせればまだコップに残っている部分があります。私は飲みませんが。最後に3分の1だけ残ってる部分はたいてい一度口に入ってまた出てきた飲み残しですから。まあいいです、さあ、みなさん、何が言いたいかというと、ブッシュ大統領にとってはこんなものは痛手でもなんでもないってことであります。…


...I mean, it's like the movie "Rocky." All right. The president in this case is Rocky Balboa and Apollo Creed is -- everything else in the world. It's the tenth round. He's bloodied. His corner man, Mick, who in this case I guess would be the vice president, he's yelling, "Cut me, Dick, cut me!," and every time he falls everyone says, "Stay down! Stay down!" Does he stay down? No. Like Rocky, he gets back up, and in the end he -- actually, he loses in the first movie.

OK. Doesn't matter. The point is it is the heart-warming story of a man who was repeatedly punched in the face. So don't pay attention to the approval ratings that say 68% of Americans disapprove of the job this man is doing. I ask you this, does that not also logically mean that 68% approve of the job he's not doing? Think about it. I haven't...


…つまり、映画「ロッキー」のようなものです。そうそう、ブッシュ大統領はこの場合はロッキーで、対するアポロは・・・この世界の残り全員です。今は第10ラウンドです。ロッキーは血だらけです。コーナーにはミックがいて、つまりこの場合はチェイニー副大統領ですね、大統領は「水をくれチェイニー、水をくれ!」と叫ぶんです。そしてロッキーがダウンするたびに観客は「もうあきらめろ!もうあきらめろ!」と叫びます。大統領はあきらめてしまうのでしょうか?いいえ!ロッキーと同じように、大統領は再び立ち上がり、そして最後にはついに・・・えーと「ロッキー1」では負けるんだった。

ええい。まあいいです。要点はつまり、ずっと顔面をぶん殴られ続けた男の心温まるストーリーでしたよねってことですよ。ですから、アメリカ国民の68%が大統領のやっている仕事を支持しないっていう調査は気にする必要はありませんから。たとえばですね、ということはそれって裏を返せば、68%の人は大統領が手を出していない仕事については支持してくれているってことにはなりませんか?ちょっと考えてみてください。私は考えたことないですが。…


...As excited as I am to be here with the president, I am appalled to be surrounded by the liberal media that is destroying America, with the exception of Fox News. Fox News gives you both sides of every story: the president's side, and the vice president's side.

But the rest of you, what are you thinking, reporting on NSA wiretapping or secret prisons in eastern Europe? Those things are secret for a very important reason: they're super-depressing. And if that's your goal, well, misery accomplished. Over the last five years you people were so good -- over tax cuts, WMD intelligence, the effect of global warming. We Americans didn't want to know, and you had the courtesy not to try to find out. Those were good times, as far as we knew.


…私はここで大統領閣下と同席できて嬉しく思うのと同時に、この国を破壊しているリベラル派のマスコミに囲まれてぞっとしているのであります。FOX NEWSだけは別ですよ。FOXはすべてのニュースの両側の言い分をちゃんと伝えますからね。つまり大統領側の意見と、副大統領側の意見です。

しかしFOX以外のお前らは、いったい何を考えているんだ?NSAが電話を盗聴してるとか、東ヨーロッパの秘密収容所のことなんかニュースにしやがって。そういうのはすごく重要な理由があって秘密にされているんだ。詳しく知ったらすごく嫌な気分になるから隠してるんだよ!
おかげでひどいことになってしまったじゃないか。ここ5年ほどはお前たちマスコミはすごく素直だったのに…減税とか、ミサイル防衛とか、地球温暖化とかではものわかりがよかったからな。アメリカ国民はそんなこと知りたくなかったんだ。お前らマスコミも鼻を突っ込まないでいてくれた。あの頃はいい時代だったんだがなあ。


But, listen, let's review the rules. Here's how it works: the president makes decisions. He's the decider. The press secretary announces those decisions, and you people of the press type those decisions down. Make, announce, type. Just put 'em through a spell check and go home. Get to know your family again. Make love to your wife. Write that novel you got kicking around in your head. You know, the one about the intrepid Washington reporter with the courage to stand up to the administration. You know - fiction!

いいか、ちょっとルールを確認するぞ。どういう仕組みになっているかっていうとだ。まず大統領が決定を下す。大統領がボスだ。報道官がそれを発表して、お前ら記者がそれを書きとめる。決定→発表→印刷、だ。Wordに原稿をスペルチェックさせたら家に帰れ。家族サービスしろよ。奥さんを大切にしてやれ。それからずっと構想を練っている小説を書きなよ。ほら、ホワイトハウス担当の勇敢な記者が、政府に立ち向かうっていうやつ。つまり空想小説だよ。

Because really, what incentive do these people have to answer your questions, after all? I mean, nothing satisfies you. Everybody asks for personnel changes. So the White House has personnel changes. Then you write, "Oh, they're just rearranging the deck chairs on the Titanic." First of all, that is a terrible metaphor. This administration is not sinking. This administration is soaring. If anything, they are rearranging the deck chairs on the Hindenburg!

しかしまったく、この壇上にいる方々には、お前らの質問に答えて結局何の得があるっていうんだ?だって、何を言ってもお前らは満足してくれないじゃないか。誰でも人事異動を希望することはあるだろう?だからホワイトハウスでも人事異動はあるんだよ。そしたらお前らは「おい、タイタニックが沈むっていうのに甲板のデッキチェアを並べ替えているぞ」とか書くんだよ。まずそもそも、ひどい例えだ。ブッシュ政権は沈みかけてなんかいない。ブッシュ政権は浮上中なのだ。例えで書きたいなら、ヒンデンブルク号のデッキチェアを並べ替えてると書け!

(注・ヒンデンブルク号は1937年に爆発・炎上した大事故で知られる飛行船。)


...Joe Wilson is here, Joe Wilson right down here in front, the most famous husband since Desi Arnaz. And of course he brought along his lovely wife Valerie Plame. Oh, my god! Oh, what have I said? [looks horrified] I am sorry, Mr. President, I meant to say he brought along his lovely wife Joe Wilson's wife. Patrick Fitzgerald is not here tonight? OK.

今夜はJoe Wilsonさんもいらしています。Joe Wilsonさんもちょうどこちらの前に座っていらっしゃいます。Desi Arnaz以来の有名な旦那様になりましたね。そしてもちろん彼の愛する奥様のValerie Plameもいらしてます。うぉっとしまった!やべえ、言っちゃったよ!(ビビッている)申し訳ありません大統領、つまりJoe Wilsonさんは、Joe Wilsonさんの奥様といっしょにいらしてます。今日はPatrick Fitzgeraldは来てないよな?よし。

(注・Joe Wilsonは駐ガボン大使だったがイラク開戦に際し表立って反対を表明したため、ブッシュ政権は意趣返しとしてWilsonの妻ValerieがCIAに勤務している事実を彼女の名前と一緒に意図的にメディアにリークしたとされる。これはValerieの身分を危険にするものであるが、許可なくCIA職員の名前と身分を明かすことは違法となる。リーク工作についてはブッシュ大統領自身が了承していたという疑惑がある。Fitzgeraldはこの件に関する特別検察官、Desi ArnazはI Love Lucyの主役。)


まあこんな調子です。これをColbertは大統領のすぐ横で、しばしば大統領のほうに向き直りながらスピーチを行ったのです。

スピーチの後半で、彼は自分がいかにマスコミを軽蔑しているかを述べ、大統領に、自分を報道官にしてくれと売り込みます。そしてもし自分が大統領報道官になったら、という「オーディションテープ」なるものを上映するのですが、その中で彼はHelen Thomasにしつこく「アメリカはなぜイラクに侵攻したの?そこに多くの兵士が死ななくてはいけないほどの理由があるの?」と質問され、ホワイトハウスから逃げ出してしまいます。これこそ未だに誰もが大統領から明確な答えを聞いたことがない質問であり、それをColbertはあまりにも逆転した方法で(信奉者のふりをしながら)、大統領に突きつけたのです。



Colbertはコメディアンですから、スピーチの途中途中には様々なジョークが挟み込まれ、基本的には「聞いていて愉快な話」として語られます。しかし客観的に見て興味深いのは、大統領がムスッとするのはもちろんともかくとしても、このスピーチをその場で聞いている招待客も、全体的にあんまり笑っていないんですね。つまりそこだけ見れば、彼の話はウケていない寒いスピーチとも観測することができ、事実、スピーチ放送後の反応として保守派のブログからは「あんなに客が静かなのは、そもそもこの男にコメディアンとしての才能もなければ、批判も的外れだからだ」という趣旨の攻撃がよく見受けられます。

しかし上で引用したスピーチの内容を見れば明らかなように、彼は大統領の行動を批判しつつ、返す刀でマスコミについてもボロクソに言っているのです。大統領礼賛というギミックに包まれてはいますが、こんな大統領を野放しにしてきたのは誰なんだ、大本営発表をそのまま何も考えずに垂れ流しにしてきて、こんな仲良しクラブで大統領となあなあで食事をして、お前らの仕事は何なんだという彼のメッセージは明らかです。おそらくスピーチを聞きながら彼らとしても心から笑うどころではない気分だったわけです。

実際、その場にはまさに山ほどのマスコミ関係者がおりながら、リベラル派の代表格と目されるNew York Timesを含む主立ったメディアはColbertのスピーチを正面から記事にすることはなく、事実上黙殺と言える反応を取っています。これはとりもなおさず、同時に矛先を向けられたマスコミにとってもColbertの攻撃はまさに痛いところを突いていた証左であると考えられます。

つまりColbertは周りを全員敵に回して、一人きりで孤独に敵地に乗り込み大統領の目の前まで戦いに行ったのだとも言え、もちろん彼を呼んでスピーチさせた人間(APのMark Smithという人物だそうです)もまずは偉いのですが、それにしてもこの見事な立ち回りについて考えるとき、私はこれほどの勇気を持ち合わせた良質なジャーナリストがいまやアメリカですらComedy Centralにしか居場所がないということかもしれない、という事態について考え込まざるをえません。

そしてもちろん、日本ではなおさら、このような男が果たして今後でも出てくるのだろうかと考えてしまうわけです。